黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.47 君は「いいところ」にいる


今回は、これ!

写真1

『グッド・プレイス』(Netflix2016-2020 アメリカ)
死んで目覚めたエレノアは「君は「いいところ」にいる」と告げられる。「いいところ」の住人はいい人ばかりで、フローズンヨーグルトの店であふれている。そして、ソウルメイトの倫理学者チディを紹介され、ピエロの絵で埋め尽くされた小さな家を与えられる。人類の数パーセントしかいいところに来ることはできない。エレノアは、人道的な弁護士でその功績が認められ「いいところ」に来たのだった。
・・・しかし、エレノアは、人道的な弁護士ではなかった。彼女は、自己中で人に中指立てる系、職も転々とするような女だったのだ。
なぜ、エレノアは「いいところ」にいるのか?ソウルメイトのチディは?お隣の豪邸に住むセレブのタハニは沈黙の修行を続けているジャニュは?なぜ、「いいところ」にいるのか?「いいところ」ってなんなんだ!?


面白くなさそうでしょう。

私も、紙本さんにオススメされる前までは、2話目くらいまで見て「こりゃ捨てドラマやな」と思ったのです。

天国っていう広がりのなさそうな場所で、人間関係も閉じたまま。
死んでるから、引っ越したり、死んだりとかしないし。

「本当は善人じゃない女が正体を隠して天国で四苦八苦・・・・」
なんて、90分で終わるやん!と、思ったんです。

いや〜。そう来ましたか。
エレノアが善人じゃない、というのはシーズン1の割と早い段階で明らかにされます。
そして、そこからが実はこのドラマの面白いところなのです!

「善人」というのはなんなのか。
「いいところ」というのはなんなのか。
そういうのを考えられるようになっている。コメディタッチを崩さないまま!(これが大事。私にとっては)

写真2

メインキャラクターのチディ・アナゴンエが、倫理学の教授、という役回りで、エレノアに「善人として振る舞うための倫理の授業」をしていくのですが(その後、みんなで倫理の勉強をする)、それが本当に勉強になる。
社会契約論だったり、実存の危機だったり。

高校のとき、「倫理」を真面目に聞いてなかった私にはありがたい。

大切やな、倫理。

そして、私は、そういう「わー。わかってなかったな〜。勉強になるわー」っていうドラマが好きなのでした。

「善い行いとは?」ということについて、「天国ってどんな場所?」について、
いろいろ考えたくなった人には、オススメです。

あと、フローズンヨーグルトの店だらけ、というのもすごく気が利いている。し、タイトルカラーの緑も、何もかも、ビミョーな感じが、本当、よく考えられています。