黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.37 レトロでイケてないのはイケてるのか

今回ご紹介するのはこちら!



めっちゃ上手く描けた。・・・トレースしたから。へへ。

『ストレンジャー・シングス』(Netflix 2016- )
Netflix製作のSFホラードラマ。1980年代初頭アメリカが舞台。ある夜、少年が一人行方不明になるけれども、田舎町ホーキンスでは、家出?事故?と呑気な対応。それにブチ切れた母親(ウィノナ・ライダー)と行方不明少年のダサい仲間たち3人は別々に捜索を開始する。仲間たちは坊主頭の謎少女に出会い、母親は異世界からかかってきた少年の電話を受け取る。果たして少年は帰ってくるのか?異世界からの電話ってなんだ?少年はどこへ行ったんだ!?解決するんだ!仲間3人+少女1人で!いや、母親も息子(少年の兄)と警察署長1人とで頑張るぞ!仲間のお姉さんとその嫌な彼氏も巻き込まれるぞ!

面白いと評判で、H&Mがコラボ商品を出していたりと、これはミーハー海外ドラマウォッチャーとしては見ておかねばなるまい、と思って見ました。
現在シーズン3の途中まで見ているのですが面白いです!

「主人公の子どもたちがいい」という評判でしたが、本当に14歳くらいのイケてない仲間たちがこのドラマの一番の魅力だと私は思います。イケてない、というのが本当に大切。

ホラー、謎モノ、子どもが主人公ということで「ちょっとなあ・・・もう、そういうのいいんですわ」という方もいらっしゃるでしょう。
わかります。
異世界!ホラー!謎! ・・・とくれば、訳知り顔のやつが「あいつはまだ・・・目覚めていない」とかなんとか思わせぶりなことを言って、気づけばその謎がなんだったか忘れてしまう、画面も暗いんじゃない?もう、気が滅入って、気が滅入るのは仕事だけで十分なんだ!もう、明るいのが見たいのだ!と思いますよね?

このドラマは違うのです!明るいホラーなんですよ!
なぜなら、ちょっとダサい少年たちが頑張るから!

学校ではイジメられがちなダサい科学部少年たちの仲間を思いやる気持ちや葛藤が、そして謎の丸坊主少女が可愛くかっこよくちょっとダサく(力を使うと鼻血が出る)てですね、気が滅入りそうなストーリーに希望というか爽やかさを与えているのですよ!
おそらく誰もがイケてない14歳だったと思うんですけど。自分に投影したりして。

80年代が舞台なので、学校の中のイケてるクラスメートたちが80年代レトロという。「オタク」とか蔑まれている少年たちのアマチュア無線や通信技術への渇望が2019年の私からすると当然だったり。この逆転現象が私のような視聴者に優しい設計なのです。

(ちなみにvol.33でご紹介したブラックミラー・バンダースナッチの舞台も80年代初頭でしたが、ストレンジャーシングスを見て、ああ、そういうブームが来ていたのねと、ようやく理解しました。携帯電話が無くて、コンピューターがある、今普通の文化(音楽・ファッション・家族のありかた)が入ってきた時代だものね。)

ダンジョンズ&ドラゴンズやSF映画で盛り上がるダサい科学部少年たちの感じ、『ビッグバン・セオリー』のシェルドンやレナードたちもこんな感じやったんやろうな〜とそんな親戚のような気持ちで見ることもできて「海外ドラマ見続けてよかった」と思いました。
また、いろんなホラー映画のオマージュが散りばめられているらしく、その辺に詳しかったらより深く楽しめそうです。ホラーあるあるの「イケてる男女から先にやられる」の期待を裏切られたり、「なぜ!なぜバラバラで行動する!」というあるあるのままだったり、一部はわかるけれども・・・。

オススメです。

ホラーですが、爽やかで、そんなに怖くありません。ドラえもんレベル。

あ、あと、90年代後半のイケてる女優ナンバーワンだったウィノナライダーの母親役を見られるのも個人的には嬉しい。



トレースしなかったらこんな感じ・・・ああ。キュートさがまるきり出てない。

どうでもいいですが、ウィノナライダー、私が高校生〜大学生くらいの時、めっちゃ人気だったのですが、どの映画に出ていたかはほとんど覚えていなかったです。(フレンズのゲスト回はめっちゃ覚えてるけど)