黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.24 戦国モノだから仕方ない

とうとうやってまいりました。今回は、王道中の王道です。これ!



『デスパレートな妻たち』
アメリカの郊外住宅地にあるウィステリア通り。物語は一人の主婦が自殺するところから始まる。彼女の友達であるご近所さんたちは、彼女は何故自殺したのか?誰が彼女を脅迫したのか?を探っていきつつ、恋したり離婚した元旦那といろいろあったり、子育てで手放したキャリアを思ったり子どもがグレたりする。のが、シーズン1。各シーズン毎に大きな出来事があり、その始末がつけられる、というのがパターンなんですけど、見どころは、並行して勃発する小さな事件、人生のあれやこれやの方です。
(2004〜2012年 アメリカABC)

全8シーズンもあるもんでですね、あらすじに書いたように毎年大きな問題(だいたい殺人がらみの秘密)が起こります。さらにウィステリア通りの各家庭で小さな事件(といっても、離婚や浮気や疾病、交通事故、望まぬ妊娠、再婚、などなどどれも小さいとは言えない人生の大事件なんですよ!)が、山ほど起こる上に、火災2件(どちらも放火)、大きな自然災害1件、飛行機墜落事故1件と、まーまーとにかく「こんな街には住みたくないわな!」というような状態なんですよ。

そして、ウィステリア通りは10軒ほど並んだ通りなんですが、シーズン毎に転入者があったり、経済的理由で引っ越していったり、再婚離婚で住む家がころころ変わる。

外見はモデルハウスみたいな家が集まってインテリアも夢のようにスタイルがあって素敵なんですが(海外ドラマは大抵そうだけど)、中身はとんでもないことになっているぞと。

で、思ったんですが。
これって戦国時代モノ好きにはたまらないんじゃないかと!
真田丸見た時に感じた「徳川がいまここに住んでて・・・」とか「北条家ってそういうカラーよね」みたいな。ウィステリア通りという小さな通りの10軒で転入転出引っ越しがあったり、経済的に苦しい時期があったり、年取って相続人が家を管理することになったり、秘密をいまこの家とこの家は共有していて、ほんでもって本能寺の変からの伊賀越えみたいな事件が続々と起こるんですよ!ねえ、おもしろそうでしょう。そうでしょう。

戦国時代モノ好きの方、是非みてください。
そして、結局「誰が天下を取ったか」とか「義にあつい人物」とかよりも、やっぱりてんやわんや事件が起こった時に「人がどう動くか」そして「その中で育まれる友情とか疎外感とか」みたいなものがドラマの中で魅力を感じるんじゃないのかな、って思います。
(逆に言うと「誰が勝つか」とか「忠義」とかがポイントの人は面白くないかもしれません)