黒木陽子「私はこんな海外ドラマを見てきた」
vol.20[番外編]韓国映画『怪しい彼女』

今回は引き続き、ドラマではなくて、これ!



『怪しい彼女(原題:수상한 그녀 受賞した彼女)』
70歳のマルスンは、若い頃夫に先立たれ苦労して育てた息子が大学教授になったのが自慢のお婆ちゃん。孫二人、息子、嫁と同居して幸せなはずだった・・・が、自身のきつい性格のため嫁が心労で倒れてしまい、家庭内に居づらくなってしまう。ファンタジー的なあれで気づけば20歳の自分になる。なんやかんやあって、イケメンの孫とバンドを組んで歌手デビュー。「若いのに人生の苦さを感じさせる歌を歌う」ということでスターダムをのし上がる。恋したり、恋されたり。仲良しの爺さん以外に正体はヒミツ。


先日、初海外旅行!韓国旅行に行って来ました。韓国ドラマ『チャングムの誓い』を追いかけていたのははるか昔・・・に、なってしまったので、旅行前に韓国映画を観ておくか、ということで観たのです。

とっても面白かった!!
もう、出てくる人出てくる人みんな魅力的なんですよ。みんなだいたい善人。だけど、その中に情けなさや弱さや酷さがちゃんとあって。ストーリーは上のあらすじを見て「ああ、よくあるああいう感じやね」って感じのままなんですが、文章では表せない深さがありました。

あと、やっぱり顔が似てるから、自分の祖母やら父親やらと重ねてしまってグッとくるんですよ・・。アメリカ・イギリスドラマばかり見ていた私にゃ、そこが新鮮だったり。

そして、みんなとにかくお芝居が(多分)上手い!
若返った主人公を演じるシム・ウンギョン(「sunny 永遠の仲間たち」の主役の子です)なんて、若いのに・・・ねえ。強いお芝居しはるわあ。言葉がわからないので上手いかどうかはわからないんですけど。魅力的。
特に、70歳の主人公を演じているナ・ムニがもう、もう!彼女が泣いたり笑ったり、いらんことしたりすると、もう祖母やら伯母やらの姿を重ねてしまって・・・もう。シム・ウンギョンの向こうにナ・ムニさんを感じるとさらに心くすぐられる感じになりますので、もし観る機会があれば試してみてください。



そんな感じで、「いいなあ、いいなあ」と思って、劇中歌も覚え、韓国に行き、帰って来てその勢いのまま衛星メンバーが超オススメしている韓国ゾンビ映画『新感染』も観まして。
とあることに気づきましたよ。

「化粧、落ちてる!」って。

韓国といえば、韓国コスメ。はっきりアイラインに口紅、バッチリ美容に熱心だぜ!というイメージじゃないですか?
でも、ちゃんと家の中とか、もう年寄りなんで気を使わないぜ、ゾンビに追いかけられまくってそれどころじゃないぜ、っていう場面では眉毛やらアイラインやらが落ちてるんです。
若い子も。おばちゃんも。

「シリアスな社会派映画ならともかく、軽めのエンタメ映画で素顔を晒すなんてとんでもない!」という甘っちょろいこと言わず、ちゃんとしてるなーって。それが「軽めのエンタメ」じゃなくて、一級のエンターテイメントにしている所以なんじゃないかしらと思いましたのです。

今、中国版『怪しい彼女』(各国でリメイクされてるんですよ)を流し見しているんでが、やっぱり化粧バッチリすぎる。「同じ東アジアの顔でも、それじゃあ、うちの死んだおばあちゃんのことは思い出さへんな!」って思いながら見ております。お嫁さんは小太りで仏頂面のおばちゃんなんが、ええのになぁ・・・。

(・・・とはいえ、平成っ子のお祖母様はきっとこぎれいだろうし、世代差があるんかもしれませんなぁ・・・)