黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」vol.12


海外ドラマ大好き人間!略して「海どん」が、彗星小学校のみんなにオススメの海外ドラマを押し付けていくけど今月もちょっと脱線しまして。こないだ読んだ漫画がやっぱりとても面白かったのでそれをオススメいたします。

vol.12 海外ドラマでやって欲しいけど絶対無理やなと思う。

今回、オススメするのは!
これ!
九井諒子『ダンジョン飯』!

漫画だ!しかもAmazonkindleのコミック1位の大人気漫画だ!いまさらですみません。
この世界を映像で見られたら楽しいだろうなーと、思っておりまして。できればドラマで。(映画だと端折られるから)。と、同時に無理だろうなーとも思っております。その理由は後で書くとして、こないだ4巻が出ていて読んで見たらばやはり面白かったので、この文章を読む人はあまり流行りの漫画を読まなさそうだという勝手な偏見のもとオススメしたいと思った次第です。

さて私、本より漫画の多い本棚で育ちまして「私は一生、お気に入りの漫画の最新巻を待つ人生を送るんだー」と思っていたのですが。
気付けば、さっぱり・・・。
『ガラスの仮面』を追うことを止めてからというもの、最新巻まだかなーと待つことが無くなっていました。

そんな漫画を追いかける情熱がほぼ無くなってしまった39歳の私が、唯一追いかけているのが!
この、『ダンジョン飯』なのです。(あと、『アオイホノオ』と。←唯一じゃない)

舞台はドラクエ以降世代にはおなじみのエルフやら、ドワーフやらがいるファンタジーの世界でですね、冒険者たちが、とある迷宮の探索にみんな集ってきている、というような設定です。主人公のパーティは、とある理由で資金難になり、食費を浮かすべくダンジョンのモンスターを倒し、そして食べながら進む…というような話です。
「動く鎧」やら「ミミック」やら、「え?そんなん食べられるのん?」というモンスターも、現実の食材よろしく部位の説明や調理法の工夫で「確かに…それならそう食べられるかも」と思っちゃうという、空想料理漫画なのですよ。

食材はモンスターなのに、その料理が作りたくなるという、漫画力が本当に凄い。そして、食材との戦いのアクションが、「狩り」なので普通なのがいい。戦争ドラマの、命をかけてるはずの戦いが日常になってる感、そんな感じ。ヒロイックな奴はすぐに死ぬ感じ。

是非、ゲームオブスローンズのスタッフにドラマ化をお願いしたいな、と思うのです。

ただ、そのファンタジーなのに飄々とした感、佐々木倫子感と言いますか、潔癖な感じの普通感、俯瞰した感じ、逆セカイ系感、OL進化論みたいな感じ、わかりますでしょうか。(語彙が足りないのが悔しい。ヒロイックの反対はなんて言うんでしょうか…)
まあ、そんなところが私大好きなのですが、その空気感がアメリカのスタジオに出せるのか、それが無理だろうなーと思っちゃう理由です。

あと、エロとラブも無いしな。

「これだからエルフは」と、ドワーフとノームが人種ネタでからかうところとか、海外コメディっぽいなーと思うんですが…。

パーティのメンバーを食べた食材(モンスター)に「それは食べていいもんなのか?」とつっこむところや、亜人系のモンスターはなんとなく食べたらあかん、とか、そのあたりの倫理観のバランスの危うさも描かれていて、ほんと、最高です。

流行りの漫画を今さら読むのもね…という方は、九井諒子さんの短編集もオススメです。どれも面白いです。電子書籍なら場所も取らないし。