黒木陽子の「私はこんな海外ドラマを見てきた」vol.3

海外ドラマ大好き人間!略して「海どん」が、彗星小学校のみんなにオススメの海外ドラマを押し付けていくよ!

vol.3 バカな奴は生き残れない!お気に入りキャラクターが、どんどんひどい目にあうドラマ

彗星小学校に「演劇やろうよ!」事業で派遣された海どん。しかしスパルタ式の指導方法が保護者間で大問題となる。

参観日の後の保護者会で糾弾される絹枝先生。

絹枝「というわけでですね、この事業の目的は、演劇を通して…子どもたちにも役をやりぬく責任感や、価値観の違いをすり合わせることで合意形成のプロセスを体感して欲しいと…」
柴田母「いや、ですから、それは私も存じております。お兄ちゃんのときも、ええ、とても楽しかったって言ってて、それで、今年も楽しみにしてたんですよ、でも、今年の先生は…海どん先生?でしたっけ?」
佐藤父「あの、佐藤佳奈の父ですが、娘が『お前のその幼稚なやり口には飽き飽きだ!』と言われたそうなんです」
山田母「山田の母です。うちは『ロシア人の気持ちがわかるまで調理室の冷凍庫に入ってろ』って」

保護者たち、海どんが子どもたちに吐いた暴言を口にする。「10年何してたんだ?食ってウンコしてただけか?」「そんな頭なら無い方がまだマシだ」「親もお前にはもう期待できないって諦めてるよ!」等、とにかくひどい言いよう。

佐藤父「このような指導で、子どもたちは深く傷ついているんです。それでですね、今からでも、演劇の先生を変えていただきたいというのが、保護者一同の願いです。もし、それが無理だとおっしゃるのなら…この授業だけは休ませてあげたいんです」
絹枝先生「はい…皆さんのおっしゃることは、ええ、もっともで…私も海どん先生や派遣元の劇団さんに強くお願いしていたんですが…。本当にすみません!」
保護者一同「…。」

佐藤父「いやー。“すごい”先生だって、子どもからもねえ、聞いてますよ。絹枝先生のご苦労、わかります」
絹枝先生「いえ、本当に力不足で、皆さんの大切なお子さんをお預かりしている身でありながら…」
佐藤父「前の授業の後、先生から校長に相談すると、子どもは言ってましたが」
絹枝先生「ええ。この事業は学校と教育委員会が共同で取り組んでおりまして、そちらにも再三お願いしていたんですが…毎年好評な授業ということもあって、なかなか聞き入れてもらえずで…今回保護者の皆さんの声ということで、上に上げさせていただけたら、これはもう力強く思います…本当に、力不足で申し訳ございません」
山田母「いくらでも力になります。子どもたち、絹枝先生大好きですもん」
佐藤父「そうです。なんでしたら、教育委員会さんにこちらから連絡したっていい」

保護者一同、力強く頷く。
その様子に熱いものがこみ上げてくる絹枝先生。

----

保護者の皆さんの結束力で窮地に立たされてしまった海どん。学校は演劇愛を爆発させるところじゃ無いってこと忘れてたよね。身から出たサビとはこのこと。

そんな海どんにオススメするドラマはこれ!



『ゲーム・オブ・スローンズ』だ!

アメリカHBO(ドラマ専門ケーブルテレビ)制作の大人気ファンタジードラマ。今、まあ、これいっときゃ間違いないだろう、という人気ぶり。

(以下説明しますが長くなるので途中で飛ばしてもらってもかまいません。)
とにかく話が壮大!世界史の面白いところだけくり抜いたみたいなドラマです。
イギリスみたいな土地に七つの名家があり、その王座を巡って、暗殺したり戦争したり人質とったり暗殺したり政略結婚したり戦争したり王の血を引く私生児を殺したりするのと同時に、海を挟んだ向かいの大陸では戦争のために金を貸したりドラマスタート前に追い出された前の王家の生き残りが王座奪還を目指して騎馬民族と結婚したり殺されたり、と同時に北側には異民族を防ぐ為にでっかい壁をたてているんだけれど、北側から攻めてきたり、それとは別に北側でなんか異形のゾンビみたいなやつが攻めてきたり、ドラゴンが出てきたり、妖しい術を使う女がでてきたり…と、もう、もう、盛りだくさんなのです。あと、ケーブルテレビなだけあってめちゃくちゃ女性の裸とエグい死体が大盤振る舞いで出てくる。(R15指定です。) オープニングの映像だけでも見て欲しい。世界観を表す地図に、お城がからくり仕掛けで立体的に出てくるCGが、もう、うわー!となります。


そして、このドラマ、「こいつ、いいヤツ」と気に入った人たちが、ことごとくひどい目にあっていくのです。さっき一話を見返してみて「こんな幸せな時代もあったのに…」としみじみしてしまいました。「もう二度と会えないよ、あんたとあんたは!」と、画面にツッコミ入れるほど。

逆に「こいつヤな奴やなー」という人はなんやかんやあって生き延びていくのです。(笑えるほど嫌な奴は死ぬけど) 単純なバカは生き残れない世界なのです。いい奴でも悪い奴でも。そして、金があれば勝てるのかというと、そういう訳でもなく…。ああもう大変。

海どん、その生き様から何か学んで窮地を脱せるといいね!

-----

絹枝先生、校長室に佐藤父とともにやって来る。

校長先生「なるほど・・・」

校長の机の上に置かれたパソコンには教育委員会から今朝届いたメールが。
教頭、それを覗いている位置に立ち。ため息をつく。

メールには佐藤父と絹枝先生と思われる二人が腕を組みラブホテルから出てくる写真が添付されていた…。

それは、海どんが佐藤父を何らかの手を使って買収し、絹枝先生とそうなるように仕向けたのだが、それを知るものは殺されている。佐藤父もこの後殺されるのだった。