『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)
【第三十五回】

【原文】
人はいさ心も知らず
ふるさとは花ぞ昔の香ににほひける

[紀 貫之(きのつらゆき)]

【読み】
(ひとはいさこころもしらず
ふるさとははなぞむかしのかににおいける)

【意味】
人はさあ、昔のままの気持ちでいるかどうかわからない。
しかし、自分のなつかしいふるさとは、梅の花だけがこのとおり、昔のままのかおりで美しく咲きにおっているよ。

【斬り!・・・その前に。】
ちょっと形式を変えてみました。
上の句・下の句で改行するんじゃなくて、
意味で改行してみました。

百人一首をまぁ35首に触れてしみじみ感じた事。
それは、学生時代によく意味の分からなかった歌は、 上の句の途中で意味が切れるパターンだったんだね。ということ。

「人はいさ心も知らずふるさとは。」

ではなくて、

「人はいさ心も知らず。ふるさとは、・・・」

やねん。フフフフ。これを、二句切れといいます!!えっへん!!
まぁそれはさておき。

【斬り!】
う〜ん。ちょっとこういうの苦手。

言われたことに対して、直球で返さずに、あえて風流で返しました〜。みたいな。
・・・なんか、大人のやりとりが。
オレ勝ったぜ!みたいな心のやりとりが。
もう、「イラッ」とする。

でもすごく便利やと思う。
けど苦手。

え〜この歌の背景を説明しますと。

****

歌界の大物、紀貫之(男)は、お正月に長谷寺詣でに行く際、いつもある人(多分男)のところを宿としていたのだが、 しばらくご無沙汰していた。久々にその人の家に行ったら、その宿の主が言うのだった「この家はずっとあるのにぃ〜」。それを聞いた紀貫之、側の梅の木を折って一言。

「人の心はわからへんなぁ・・・花は前のまま匂ってくれるのになぁ・・・」

****

はっ。
これってひょっとして恋人同士の歌やない?!
どこにもそんな解説はないけど。
大人のウィットとして読んだら、
「うへぇ〜」やけど、
愛だの恋だのを混ぜたら、なんだかなんだか。
ぎゃ〜ってなりますな。

だって、何も思ってないおっさんに対して、花を引き合いに出すか?
「松としきかば」とかでええやん。

そうか。紀貫之はゲイだったのか。

はっ。
紀貫之といえば、「土佐物語」!!
(「土佐物語」…貫之が女性のフリして書いた日記文学)
ますますやんか!!

すごい!
日本文学史を揺るがす大発見ちゃう?

・・・そうでもないか。
(検索してみたら、一件も出て来なかった。ハハハ。)

そんなわけで、このやりとりは、チュートリアルのお二人に是非やっていただきたい!(勝手に)。
チュートリアルさんのネタで「オレのおっさん」ネタがあるんですが。
そんな気分で読んだらいいね!

紀貫之・・徳井
(おっさんは徳井の語りの中で登場)
ツッコミ・・福田

・・・。
漫才風に書こうとしたら、無理でした。

え〜まぁ、何が言いたいのかと申しますと。
この歌は社交の歌ではなくて、恋の歌だった!
ということです。

(現代語訳・語釈は、旺文社 古語辞典[改訂新版]から引用しました。)

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