『黒木陽子の百人一首を斬る!』
(略して『陽子の百人斬り!』)

【第三回】

 あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
長々し夜を 独りかも寝む [柿本人麿]

●読み
(あしびきのやまどりのおのしだりおの
  ながながしよを ひとりかもねん)

●意味
山鳥の長い長い尾のような、この長い秋の夜を私はただ一人でさみしく寝るのであろうかなぁ。

はいっ!百人斬りも三回目を迎えました。パチパチ。
今回はこれです。柿本人麿。歌聖です。歌聖。
えー。受験勉強をしていた人は、この歌を覚えていますでしょうか。
<あしびきの>が、<山>にかかる【枕詞】で、(<たらちねの>→<母>みたいなやつ。)上の句<あしびきの山鳥の尾のしだり尾の>が、<長々し>を味わい深いものにするために置かれた【序詞】、というやつです。
つまり、この歌は要約すると、下の句「長々し夜を独りかもねむ」だけでことたりるわけです。

では、なぜ下の句だけにしないのか。
答え:かっこわるいから。

男:「長い長い夜を、もんもんと独りで寝てんねん〜。ちょ〜さみしいねん、家行ってもいいやろ〜?」
女:「タモリ倶楽部でも観とき。」

ね。すぐふられちゃう。

男「あしびきの…」
女「えっ?」
男「山鳥の…」
女「えっ?何?…」
男「尾の…」
女「うん…。」
男「シダリ尾の…」
女「うん…。」
男「そんな、長い夜?」
女「うん…」
男「独りでな…」
女「えっ!?」
男「俺は今日も独りで寝るのぉ〜?え〜。や〜だなぁ〜。」
女「きゅう〜ん!!あほ!何言ってんの!行く行く!私が行くし待っててな〜。」

ね。ひ〜っかかっちゃった〜。

この歌は、決して大声で浪々と読んではならない。
ぼそっぼそぼそ…と、上の句は読むのだ。
「え?何?次何?何か分からへんけどミステリアス〜」
と、思わせておいて、
「あ!そこにかかるのね!
  アホかとも思ってたけどけっこうかわいいやん!」
こう、思わせれば成功だ。

Gacktにでも読ませとけ。
(ごめんGackt、結構好き。)

さて次回は・・・
【第四番:田子の浦に打ち出でてみれば・・・】
は〜い。四首目にして、ようやく日本の景色ナンバーワン、富士山の登場です。
が〜んば〜るぞ〜

(現代語訳は、中央図書「古典の学習【小倉百人一首】」宗政五十緒著」から引用しました。)

 

 

 

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